2025.05.20 | u-map

“DJ施設長”がつくる介護の新しいカタチ!ケアホームカナンの取り組み。

 

山形県新庄市に、音楽と笑い声が響く介護施設があります。
その名は「ケアホームカナン」。

体操の時間になると、リズムに乗せた掛け声とともに、利用者もスタッフも楽しそうに体を動かす——。
ここは、介護の「暗い」「つらい」イメージを覆す、全国から注目される場所です。

そこには音楽とエンタメを取り入れた“新しい介護”を地域に、そして全国に広げようと挑戦を続けています。

なぜ、利用者も職員も、これほどまでに笑顔になれるのか。
その秘密に触れるべく、ケアホームカナンを見学させていただきました。

音楽×運動による介護予防や独自レクレーションプログラム

ケアホームカナンで特徴的なのは、音楽と運動を組み合わせた独自の介護予防プログラムです。
利用者が集まるホールでは、プログラムが始まる少し前から心地よいリズムが流れ出し、スタッフの声掛けとともに、利用者の表情が少しずつ変化していきます。
それまで椅子に深く座っていた方が、音楽に合わせて体を揺らし始め、手拍子を打つ。その様子は、まるでライブ会場のような一体感があります。

特に人気なのが、昭和の名曲「ラバウル小唄」をLo-fi Chill Hop風にアレンジしたプログラムです。
懐かしさと新しさが絶妙に融合し、椅子に座ったままでも無理なく行える手足の運動を自然と楽しめる工夫が詰まっています。
また「パニックビート」と呼ばれるリズム運動では、手足を複雑に動かすことで脳と体を同時に刺激し、利用者だけでなくスタッフも思わず笑顔になる時間が生まれています。

こうしたプログラムは、すべて500種類以上の運動メニューから、利用者の状態やその日の気分に合わせてスタッフが選び、アレンジしています。
「体操が楽しいから、また参加したくなる」——そんな前向きな気持ちが、自然と日常に介護予防を取り入れる力になっています。
やらされる体操ではなく、自ら進んで取り組みたくなる体験。
それこそが、ケアホームカナンが目指す「楽しく続けられる介護予防」の形なのです。

誕生した背景とは?

ケアホームカナンが誕生した背景には、施設長である馬場田晃一さん自身の原体験があります。
それが学生時代に実習先でマニュアル通りに進める介護に違和感を覚えたことです。
いくら知識や資格があっても、目の前の人の「本当の気持ち」に寄り添うことができなければ、意味がないのではないか。
そんな葛藤の中で、当時、福岡市の精神障害施設等で勤務してた馬場田さんは自分が本当にやりたい介護を実現するため、地元・山形県新庄市に戻る決意を固めました。

「家庭のようなあたたかい空気を大切にしたい」「スタッフ一人ひとりの人間性を活かしたい」という思いからスタートしたケアホームカナンは、決して特別な設備や最先端の技術を誇る施設ではありません。
それでも、利用者とスタッフが自然体で向き合い、笑い合い、日常を楽しむ——そんな当たり前の光景が、ここにはあります。

 

 

例えば、利用者と一緒に家庭菜園を始めたり、地域の子どもたちと世代を超えて交流する機会を設けたり。
施設という枠を超えて、地域に開かれた「居場所」としての役割を大切にしてきました。
2016年には法人化し、地域に根ざした介護拠点として、今では新庄市を代表する存在にまで成長しています。

DJ施設長の魅力発信

ケアホームカナンを全国に知らしめた最大のきっかけ。それは、間違いなく馬場田さんの「DJ施設長」の存在があります。
「DJが施設長?」と、誰もが耳を疑いますがこれこそがカナンのユニークな魅力そのものなのです。

実は馬場田さん、介護の世界に入る以前から趣味としてDJ活動を続けてきました。
クラブやイベント会場でターンテーブルを回し、フロアを盛り上げる。そんな経験を持つ彼だからこそ、ある日気づいてしまったのです。

「音楽の力で、介護の現場をもっと楽しく、もっと笑顔にできるんじゃないか」と。

その発想を形にしたのが、カナン名物「音楽健康セッション」や、YouTubeチャンネル「次世代型介護予防チャンネル」です。

 

(次世代型介護予防チャンネル)https://www.youtube.com/channel/UCreVB5G90gyK9bO_UQl8pXQ
(次世代型介護予防チャンネル)https://www.youtube.com/channel/UCreVB5G90gyK9bO_UQl8pXQ

馬場田さんは、音楽に合わせて手足を動かすリズム運動や、ラップ調の口腔体操、早口言葉を取り入れた脳トレなど、介護現場ではまだ珍しい「音楽×エンタメ×介護」のプログラムを次々に開発しました。

ある日のセッションでは、利用者が「今日はどんな曲が流れるの?」とワクワクした表情でホールに集まります。
馬場田さんがDJブースに立ち、軽快なビートを流し始めると、利用者の表情がみるみる明るくなっていきます。
「パン、パン、グー!」「右手、左手、クロス!」
リズムに乗せた掛け声に合わせ、普段は身体を動かすのが億劫だった利用者までもが、自然と体を動かし、気がつけば笑い声が溢れる空間に変わっています。

こうした活動は、利用者だけに留まりません。
「こんな楽しい現場、他に見たことがない」と感動したスタッフは、自ら新しいプログラムを考案したり、音楽に合わせた体操を一緒に盛り上げる役割を担ったり、職員同士がチームとなってプログラムづくりに参加しています。
結果、職員の表情も柔らかくなり、現場に一体感が生まれているのです。

さらに、馬場田さんの取り組みは地域社会にも広がりを見せています。
地元の保育園や学校、企業、さらには行政からも「ぜひカナンの音楽レクを取り入れたい」「イベントに参加してほしい」と声がかかるようになりました。
地域の子どもたちや働く世代、高齢者が一緒になってリズム体操を楽しむ光景は、まさに“世代を超えた共生”そのものです。

YouTubeで発信している動画も、全国の介護事業者や福祉関係者から注目を集め、「うちの施設でもやってみたい」、「オンラインで指導してほしい」といった声が寄せられ、実際に他地域の介護施設や自治体とコラボレーションする機会も増えています。

「介護は、決して暗く、つらいものではない」
「誰もが音楽の力で笑顔になれる」
そんな可能性を、DJ施設長は体現し続けています。

「音楽を流すだけなら誰でもできる。でも、その場を本当に“楽しい時間”に変えるには、音楽を“介護の言葉”に訳す力が必要なんです。」
そう話す馬場田さんの姿は、まさに「介護×音楽×エンタメ」のパイオニア。
今や新庄市から全国へ、介護の未来を切り拓く存在として、多くの人を惹きつけ続けています。

今後の展開

ケアホームカナンは、これまで施設内だけでなく、地域全体を巻き込んだ取り組みを続けてきました。
地元の保育園で子どもたちと一緒にリズム体操を行ったり、小中学校では、福祉教育や介護体験授業を通じて子どもたちが「介護を身近に感じる」きっかけを作ってきました。
地域のお祭りでは、ステージに立って音楽レクリエーションを披露し、多世代交流の場を生み出しています。こうした取り組みをさらに発展させるため、今後の予定として介護職の魅力発信活動の一環として、KAiGO PRiDEアンバサダーとして全国での講演やLIVE活動も予定しております。

「施設の中だけではなく、地域全体を元気にしたい」
「子どもから高齢者まで、誰もが一緒に楽しめる社会をつくりたい」

その想いを胸に、カナンの挑戦はこれからも続きます。
ぜひ一度、新庄市に足を運び、カナンの空気を直接体感してみてはいかがでしょうか。
きっと、これまでの介護施設のイメージが大きく変わるはずです。

施設概要

"DJ施設長"がつくる介護の新しいカタチ!ケアホームカナンの取り組み。

 

  • 運営会社 株式会社カナン
  • 施設名  有料老人ホーム ケアホームカナン
  • HP    https://care-home-canaan.com/index.html
  • 住所   〒996-0002 山形県新庄市金沢2864番地 
  • 業種   住居型有料老人ホーム 

 

見学などのご要望がございましたら上記のHPへお問合せください。

 

※こちらは個人的な見解を含め書いておりますので実際に感じることと異なる場合もございますがご了承くださいませ。

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